アーユル チェアー誕生のきっかけ

塩澤:アーユル チェアーという名前の由来からお伺いしてもよろしいですか?
長谷川:“アーユル”という言葉が、インドのサンスクリット語で“命”という意味なんです。
このチェアーに座ることで、正しい姿勢を身につけて、心身共に健全になり、命の輝きを見出してほしいという思いがあって、名づけました。
塩澤:なるほど、「命のイス」ですね。アーユル チェアーが生まれたキッカケは何だったんですか?
長谷川:最初のキッカケは、わが社で発売した、メディカルステイフィット(以下MSF)というイタリアの血管外科医の先生が設計したドクターズストッキングです。MSFは着圧系のストッキングで、イタリアの専門医が設計していて、非常に高性能なストッキングなんです。
塩澤:ストッキングですか。
長谷川:特に女性は、朝起きてから夕方頃までに、足がむくんで1.5~2cmほど太くなる。2cmって見た目にわかるぐらい太いでしょう?
MSFは、そのむくみを起こさせないように設計されたストッキングなんです。そうすると、夕方や夜になってもぜんぜん細いんですよ。
塩澤:なるほど、機能的だ。速く泳げる水着みたいですね。
長谷川:そうなんですよ。なので、高機能な着圧ストッキングを発売するときに、ただ商品を売っても意味が無いと思ったんですよね。
例えば車で言うとフェラーリみたいなもので、いきなり初心者には乗りこなせないでしょ。
塩澤:たしかに。
長谷川:そんなときに、平山昌弘さんという方と出会ったんですよ。ずっとスポーツ選手のフィジカルディレクターをやっていて、その後、イタリアのスキーのゴールドメダリストのアルベルト・トンバ選手のフィジカルディレクターをやって、『日本人と欧米人では骨格や筋肉がぜんぜん違う』という事で、民俗学という観点から見た日本人と欧米人の違いっていうのを研究されている先生だったんです。
塩澤:スポーツ選手の体を毎日見ている方だからこそ、違いを実感したんでしょうね。
長谷川:そうでしょうね。農耕民族の日本人と狩猟民族の欧米人では、生活も違うし、使う道具にも違いがあるんですよ。
例えば、畑仕事ばかりやっている日本人は身体の前側の筋肉が発達しているから、同じノコギリでも、日本のノコギリは「引く」時に切れるのに対して、欧米のノコギリは刃の向きも逆になってて、「押す」時に切れるんですね。
塩澤:そうそう。
長谷川:その先生とMSF発売の頃に出会って、ストッキングも欧米人が作った欧米人の為の道具だから、日本人は上手く履けていない、とおっしゃるわけです。
着物文化の時にはストッキングなんて履いてなかったですからね。普通パンストって立ったままパッと履く人が多いんですよ。
塩澤:そういえば、ストッキングも靴下も、どうやって履くか、なんて考えたこともないですよね。
長谷川:なので、MSFという高性能なストッキングを発売するにあたって、ただ商品を発売するのではなく、「スローストッキング」という、ストッキングの履き方そのものを提唱したんですよ。イスに座って、ゆっくり足首からふくらはぎから太ももをくるくる回しながら履いていく履き方なんですけどね。
塩澤:『文化の提唱』ですね。
長谷川:そんな活動をする中で、平山先生が、ストッキングだけじゃない、イスも同じ事ですよ、とおっしゃったんです。
文化も生活形態も違う欧米人が作った道具だから、ストッキングを履きこなせていないのと同じで、イスも座りこなせていない、と。
塩澤:ストッキングもイスも、欧米人が作った道具、という事ですね?
長谷川:ええ、日本は着物文化であり座敷文化ですよね。日本は昔、着物だったからストッキングを履かなかった、座敷文化だからイスにも座らなかった、そのプロセスは同じなわけです。だから、欧米人が作った欧米人の為のイスに「座らされる」のではなく、きちっと日本人が座りこなせるイスを作ろう、っていう所からスタートしたんですよ。
塩澤:なるほど。

アーユル チェアーを、第二のランドセルにしたい

解析の精度や検査の工程にかかわらず、まれに遺伝子型の結果が得られない場合があり、結果データがWebサイトに反映されないこともありますのでご了承ください。