姿勢を正すということ

長谷川:日本が昔、座敷文化だった時は、みんな正座とかあぐらで座ってたわけですよ。これって、『坐骨座り』なんですね。
坐骨で座ることで腰が立っていたから、姿勢も良かったんです。
塩澤:坐骨って、座る骨と書きますよね。
長谷川:でも、だんだん西洋文化が入ってきて、欧米人が作ったイスに座るようになって。坐骨で座るのを忘れて、背もたれに頼って、お尻全体で腰から背中を丸めて座るようになってしまった。だから、姿勢が悪くなってきた、と言われてるんです。
塩澤:なるほど。
長谷川:で、当初は、実は子供のイスを変えたいと思ったんです。
塩澤:子供用のイスですか。
長谷川:そうなんです。わが社は「モノトーンの商材をカラーにする」という企業理念があって、今まで光の当たらなかった商材に色んな付加価値をつけていく、という理念なんですね。そして、僕が注目したのは、小学校のイスなんです。
塩澤:小学校のイスというと、座面が木で出来てるイスですよね。そういえば昔から変わらないですね。
長谷川:そうなんです。あれって本当にモノトーンの商材じゃありませんか?小学校1年から6年までず~っと、一番子供たちが成長していく大事な過程の中で、何の調節もできない安っぽいイスに座らされて、猫背になって勉強してるんですよ。僕自身としても、子供のころから姿勢が悪かったな、というのがあって。
いちばん体が成長する時期なのに、決して座りやすいイスとはいえませんね。
長谷川:また、商品が出来上がった頃に別の出会いもありまして。運動科学総合研究所の高岡英夫先生という、ゆる体操という体操を考案した方なんです。
体に関する専門家の中の専門家で、日本で初めて、軸の意識とか身体意識という理論を持ってきた方なんですね。その方が、アーユル チェアーを気に入ってくださって。
塩澤:へぇ~。
長谷川:高岡先生いわく、会議が長引いてくると、集中力がなくなってきて、たるんできたりするじゃないですか。そんな時「やる気がなくてたるんでる」って思ってる方が多いでしょうけど、実はそうじゃなくて、長時間姿勢よく座らずに猫背で座っていると、だんだん身体のほうがストレスを持つようになる。
それで集中力が無くなっていく、という人間の体の特性があるそうなんです。
塩澤:姿勢が悪いと体の機能が低下して、だらけてしまう、という事なんですね。
長谷川:そうなんです。偉い人や学校の先生が子供たちに、姿勢を正しなさい、と言うじゃないですか。
姿勢を正すっていうのは、その態度だとか行動を変えるってことを表しているようでいて、実は、姿勢を正して本当に集中して、まっとうな考え方になりなさい、という事を指しているんだな、と思ったわけです。
塩澤:体の姿勢を正すことで、心の姿勢も正すことになるわけですね。
長谷川:だから、子供たちに対して、まずは学力の低下や非行化を防ぐためにも、まずは体の姿勢を正して座ることで、日本の将来を背負っていく子供たちの、まず、根底の部分、大事な部分をやり直したいという意識があったんです。
塩澤:つまり体の安定が心の安定という事ですよね。最初の道具の話にも通じますが、押すとか引くというのも身体論じゃないですか。
欧米人と日本人では、身体の動きの方向性が逆だって事を対比しているんですけど、よく考えると精神論にも通じていますよね。欧米人はどんどん自分を外に出していく。
長谷川:なるほど!確かにそうですね。
塩澤:欧米人は、前に進む、押し出していく、自分の考えを表現して周りに伝えて行こうとするのが善なんですよね。だからインターネットが出来たわけです。
一方、日本人は自分の内側に入れていくことに価値を感じる。精神的な面で外に向かうか内に向かうのか、という事が体の動きにも表れていくんでしょうね。 

これからのアーユル チェアー

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