Haplo Group【M8】


■M8グループ関連民族:「北の大地の先住民 サーミ人」

民族
スカンジナビア半島北部、及びロシア北部コラ半島に居住する少数民族です。 伝統的にサーミ人が住んでいる地域は、スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・ロシアの4カ国にまたがっています。
ちなみに、サーミ人の住むフィンランドはサンタクロースが住んでいる地とも呼ばれています。 主にサーミ語を話しますが居住区域の関係もあり、多くの人々がスウェーデン語・ノルウェー語・フィンランド語・ロシア語を話すことが出来ます。
元々は狩猟・放牧を行う民族でしたが、チェルノブイリ原発の事故により主食のトナカイの汚染が進み、今日では定住生活を行っている人口の方が多いです。

その生活様式は5つに大別されます。トナカイ放牧を専業とし、サーミ人の代名詞ともいえる「山岳サーミ人」、漁業を中心に営む「海岸サーミ人」、山岳系とは別の種のトナカイ放牧を営み森に住む「森林サーミ人」、フィンランドの最北部にある、イナリ湖で漁業を行う「湖サーミ人」、大小の川で漁を行い暮らす「河川サーミ人」です。
彼らはシイーダと呼ばれる集団を構成していました。このシイーダは親族によって形成され、男女問わず最年長の人物がリーダーを務めていました。リーダーは狩りや放牧の計画を立て、集団をまとめ上げていました。
彼らは経験から効率的に集団を統制する仕組みを作り上げ、代々受け継いでいったのです。


文化
彼らの文化の特徴は民族衣装と工芸品です。民族衣装は「コルト」といい、色彩豊かなフェルト生地の上着や帽子で、集落ごとにデザインに違いが存在し、デザインで出身の村を見分けることが出来たと言われています。
この民族衣装は普段着にも儀式用の服装にも用いられました。

また「ドゥオッチ」と呼ばれる工芸品も有名です。
木や骨・トナカイの角・動物の毛皮が素材として使用され、日用品として使うものが多いです。ブレスレットやネックレスなどの装飾品、衣服、食器などがあります。
鉱物が採れない地域に生活していましたが、後にスカンディナヴィア人の接触により鍛冶技術がもたらされました。サーミ人の中にも習得する者が現れ、彼らの業は時に魔法とも考えられ神聖なものと崇められたといいます。


音楽
サーミの音楽はヨイクと呼ばれる無伴奏の即興歌が代表的です。シャーマニズムから生まれた音楽で、太陽や月・山・川などの自然や生まれたばかりの赤ん坊、親族の紹介など様々なコミュニケーションに歌われました。
彼らは精霊信仰を宗教的概念として持っており、ヨイクは彼らと交信するツールとしての役割も持っていました。
1994年ノルウェーで行われた、リレハンメル冬季オリンピックの開会式壇上で、フィンランド国籍のサーミ人のニルス・アスラク・ヴァルケアパェーが、ヨイクを披露し世界中に大きな感動を呼びました。

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