Haplo Group【G】


■Gグループ関連民族:「カナダ先住民族 ハイダ族」

民族
クイーンシャーロット島(※カナダとアメリカのアラスカ州の沖合の大小数百の島からなる群島)に住むカナダの先住民族であり、現在も島の人口の約24%、1,400人程度が生活しています。
主に群島の1つグラハム島北部に暮らしており、アメリカのアラスカ州の南東部にもコミュニティが存在します。ハイダとは彼らの言葉ハイダ語で「人」を意味しています。
ハイダ族に代々語り継がれた伝承によれば、17世紀後半には7,000人以上が生活していたとされ、ヨーロッパの人々とも毛皮貿易を行っていた記録が残っています。
その後、ヨーロッパ人から持ち込まれた疫病(天然痘など)により人口が減り、100以上あった集落は次々と滅んでいきました。感染者が比較的少なかった、グラハム島の集落に逃げ込んだ600人弱の生き残りによって、現在のハイダ族の系譜が紡がれました。


文化
ハイダ文化と呼ばれる独自文化を持ち、衣と住は特徴的なものがあります。
各部族をクラン(家系)と呼び、それぞれの家紋を持っています。祭事の際には民族衣装である家紋入りのマントを着用し、踊りでクラン(家系)の紹介を行う儀式が存在しています。
それぞれの家系は動物をモチーフとしており、クマ・ワシ・オオカミ・ワタリガラスなどがあります。 ハイダの人々の神話ではこれらの動物を精霊と崇め、自分達と深い関わりがあると考えていました。

住居は大型の長方形をした、ロングハウスという様式だったとされています。インドシナ半島でも同様の様式が見られますが、祭礼の場として使ったり、クラン(家系)単位で暮らしていたのではと考えられています。
近代再現されたロングハウスには、家内に土間(囲炉裏)もあり、どことなく日本の古式住居に似た雰囲気があります。

食については漁業が中心です。サケなどの魚や海苔などの海草類も好んで食していたと考えられています。


ハイダの美術文化
ハイダアートという独特のアートがあり、現代アーティストにもファンが多くいます。
クラン(家系)を表す動物をモチーフにした、絵画や彫刻などが中心で、民族衣装やタトゥーにも使われました。最近ではハイダ族を母に持つビル・リード氏の作品が有名で、彼は伝統芸術の復興に尽力し世界的にも知られています。
また、トーテムポールも彼らの代表的な作品の1つです。大きく分けて墓標、住居の前に建てる家紋、祭事の記念碑の意味を持ち、動物と人物が彫られているのが特徴です。 彫られている人物は「ウォッチマン」と呼ばれる人々であり、ハイダ族の文化と地域を伝え守る、重要な役割を担った人々です。
現在でもクイーンシャーロット島に存在し、祖先の地を見守っています。当時建てられたトーテムポールは複数の島に残っており、ユネスコ文化遺産にも登録されました。

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