Haplo Group【B】


■Bグループ関連民族:「幻の海洋民族 ラピタ人」

民族
ラピタ人とは人類史上初めて遠洋航海を実践し、太平洋の島々に住み着いたと思われる民族です。
現在のポリネシア人の祖先だと考えられており、アウトリガーカヌー(2つの丸太船を1つのデッキでつないだ船)で航海をしたと考えられています。その航海距離は時に数百kmにも及んだと言われています。
その類稀な航海技術に由来し「幻の海洋民族」「南太平洋のバイキング」とも呼ばれています。

「ラピタ」という名前は、1952年に彼らが作ったと思われる土器がニューカレドニアで発見されたことに由来します。
現地の人々が発掘作業の際に、現地語 (Haveke language) で「穴を掘ること」または「穴を掘った場所」を意味する「ハペタア (xapeta'a)」と言っていたのを、発掘した土器のことと誤解して付けられたと言われています。
この文化が栄えていた頃、なんと呼ばれていたのかは、現在まで明らかにされていません。


文化
主に漁業を中心に生活を営んでいましたが、タロイモやヤムイモを栽培する農耕民族としての性質も持ち合わせていたと言われています。 真偽は定かではありませんが、島を移動する際には鶏や豚などの家畜も持ち込んでいたという説もあります。
交易も盛んに行っていたと考えられ、その証拠に千数百km以上離れた土地にしかない黒曜石が、発掘された遺物から見つかっています。 これは遥か遠くの地に住む人々と貿易関係にあったことを物語っています。
土器を用いてタロイモなどの根菜やパンノキの実などを調理していたと考えられていますが、これらの食材は「石焼き」や「蒸し焼き」などの調理法の方が効率的です。その為、土器作りは時と共に衰退し料理文化だけが現在のポリネシア人に受け継がれ伝統料理の蒸し焼き料理などになったと考えられています。
土器文化の無いポリネシア文化の変遷が効率的になされた結果だと言える興味深い事例とされています。


航海技術
文明が発達し、人類は様々な航海機器を発明した事で大海原で目的地への方角や自分達の位置を知ることが出来るようになりました。しかし、ラピタ人の生きた時代はそのような文明が存在しない頃です。
では彼らはどうやって遠洋航海を行っていたのか?どうやら彼らは「天文」の技術に長けていたようです。星と太陽を見て昼夜における自分達の位置を割り出し、積乱雲、渡り鳥の動き、海のうねりで、どこに島があるかを知ることができたと考えられています。


ラピタ土器
土に貝殻を始めとする石灰性の砂と火山性の砂を加えて、ろくろなどは使わず手で捏ね上げて作ったとされています。
再現により高温で焼き上げると赤地に白い模様が浮き上がったと予想され、模様も出土した土器には複雑な幾何学的ものから人間の顔を模したものが見つかっています。


縄文人との繋がり
ラピタ人のルーツを縄文人にみる説があります。縄文土器とラピタ土器の模様が類似していることや、骨格が人種的に似ていること、縄文人も航海術を備えていたとされる説に関連性を見出すなど、いくつかの根拠を基に縄文人の中でも日本とその他の大陸に分布した人々がそれぞれの進化を辿ったと考えられています。

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